安全・安心

ホーム事故をゼロにする「秘密兵器」って?

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答え

「ホームドア・ホーム柵」です

駅のホームから線路に落ちてしまう「転落事故」や、走行中の列車にふれる「接触事故」。鉄道全体ではここ数年、年間220件前後で推移しています。

(出典:国土交通省「平成27年交通安全白書」)

ところが、この「ホームドア・ホーム柵」を設置した途端、発生件数がゼロになる駅も。特に視聴覚障がい者にとってホームは危険な場所!

例)東京メトロ(丸ノ内線)転落事故件数
(提供:東京地下鉄株式会社)
ホームドア設置率
※利用者数1日10万人以上の駅設置状況
(出典:国土交通省鉄道局調べ(H26年3月))

「ホームドア・ホーム柵」はまさに、ホームでの安全を守ってくれる最新設備です。とはいえ、ホーム事故の6割は「酔客」によるものとか。「歩きスマホ」も増えており、地下鉄利用マナーとして注意していきたいですね。

様々なタイプのホームドアが普及

現在、日本で設置されているホームドアは、大きく分けて2タイプ。ひとつは、天井など上部の構造体に支えられて、ホームと線路を完全に隔てる「フルスクリーンタイプ」のホームドア。もうひとつは、床面だけで支えられている胸の高さくらいの「ホーム柵」です。これには、可動式と固定式があり、可動式のほうは「フルスクリーンタイプ」と併せて「ホームドア」と総称されることもあります。 「固定式ホーム柵」は、電車の扉にあたる部分が開閉せず、常に開口部が残ったままになる構造です。
※「ドア」や「柵」の使い分けは、各事業者が独自判断で行っています。
ホームドア(フルスクリーン)
京都市営地下鉄東西線
可動式ホーム柵
都営地下鉄大江戸線

固定式ホーム柵
大阪市営地下鉄堺筋線

今後普及が期待される新型タイプのホームドア

国交省の計画では、2020年度までに約800駅への設置を目指し、 ホームドア設置の課題を解決する新タイプのホームドアの技術開発支援をおこなっています。

さまざまな技術で課題解決、普及を促進

現在普及しているホームドアは、相互直通運転により、車両の扉位置・サイズなどが異なると導入できませんでした。さらに鉄製のため1基重量が重くなり、設置ホームの補強を必要とし工期もコストもかかり導入のハードルとなっていました。

現在、最新のホームドアは国交省で開発支援予算が組まれ、軽量な素材の採用や扉の開閉構造を工夫したさまざまなタイプで実証試験を進め、普及促進を目指しています。

進む!新しいタイプの研究開発

可動式ホーム柵の利点を活かしつつ、扉にテレスコピックタイプ(2段伸縮の入れ子方式)の改良型ホームドア。戸袋幅を限界まで縮めることで扉数の異なる車両に対応し、扉には軽量なポリカーボネイトや強化ガラスを外装に使い視認性を向上。

さらに、安全面では人や荷物を感知する「エリア検知センサ」で音声による注意勧告をおこなうとともに、扉の開閉動作を抑止します。

また、「昇降バー式」や「昇降ロープ式」など、スライドタイプの扉の代わりに「ロープ」や「バー」が昇降する新しいタイプも。開口部が大きいため、異なる車両に対応可能。戸袋が無いので軽量で補強工事や運搬コストも抑えられます。

新しいホームドアの開発で、これまで設置が難しかった路線やホームへの導入が進み、すべての利用者の安全が高まることが期待されています。

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